JEIS Aoyama

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JEISのこと 当時のジュエリー

JEISに飾られた絵

その頃の日本は、今考えてみれば不思議に思えるのですが、貴金属と貴石を使用した装身具は宝石店が扱うもの、それ以外の安価な素材を使用したのものはアクセサリー店で売るものと画然と分かれていました。また宝石店の扱い品目は指輪が圧倒的で、デザインも宝石を引き立てる目的で考えられているものがほとんどでした。「ジュエリー」という言葉は一般的ではなく、知る人さえわずかという状態。つまり貴金属装身具をファッションの一部として見る、という考え方は薄く、それらは「高価な宝石を所有する、贅沢を楽しむために買うもの」というイメージが強かったのです。東京にも「ジュエリーショップ」を名乗っている店はわずかで、「時計、めがね、指輪」と称して、町の時計屋さんが宝石の付いた指輪を主に扱っていたのです。
これには貴金属の税制上の取り扱いも大きな影響を与えていたと考えられます。当時の貴金属装身具には、現在の「消費税」ではなく、贅沢品と見なされるものだけにかけられる「物品税」が課税されていました。これには一定の非課税限度額があり、それを超えるものは商品一点一点をすべて個別に記帳して管理しなければならない、というルールがありました。パソコンが普及する以前の話ですからこれは大変煩雑で手間のかかることです。このため普通の店は非課税限度額ぎりぎりまでの価格帯のものを扱い、課税対象となる商品を扱う店は手間を省くためなるべく高額品を扱う、という傾向にありました。市場の商品構成が税によっていびつな形になっていたのです。

もちろんそれだけが理由というわけでもないでしょうが、ジュエリーを本当におしゃれとして楽しむ、という考え方は一般的ではありませんでした。しかしそれではあまりにも寂しい。私は、ジュエリーは希少な宝石がついていて高価だから価値があるのではない。ファッションの中に溶け込み、付けている人を引き立ててこそ、その価値があるのだ、そう感じていました。その思いを伝えてみたい・・・。
私の店「JEIS」は、サブタイトルに「ジュエルスタイリスト」を掲げ、ジュエリーを人のライフスタイルを豊かに、楽しく演出するツールと捉える提案をしていこうと考えたのです。