JEIS Aoyama

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JEISのこと 開店まで

パズルビル

出店を決めて、一旦引き金を引くと、すべては自動的に進行します。特に単店ではなく、ショッピングモールへの出店の場合はモールのオープンにすべてを合わせなければなりません。しかし準備を始めて見ると、今にして思えば当然のことですが、理想を追っていたときには思いもしなかった現実の問題に直面しました。
まず最初は店舗イメージの問題です。モール全体のイメージ統一のため、店舗のレイアウト、インテリアデザインはショップデザイナーが指定されていました。そのデザイナーが私が描くショップイメージを理解できないのです。何度打ち合わせを重ねても、出来てくる図面はショーケースが整然と並んだごくありきたりの店舗のもの。私自身のイメージが漠然とし過ぎていたのかも知れませんが、それまで日本には全く存在しないような店を作ろうというのですから、仕方なかったのかも知れません。すったもんだの末、結局私の友人が勤務する別のデザイン事務所に頼んでイメージスケッチを作ってもらい(これはすんなり行きました)、それを下敷きにして再度図面を引いてもらうという甚だ手間と金のかかる過程を経なければなりませんでした。

それと並行して起こっていたもう一つの困難、それは店に並べる商品がそろわないという問題です。これも今考えれば当たり前のこと。市場にないものは卸屋にもメーカーにもない訳です。それに加えて選ぶ当の本人のイメージが漠然としている。最悪です。一店舗を埋めるには相当量の商品が必要。それをどうして調達するか。今考えれば全くお粗末な、まるでマンガのような話ですが、経験不足というのは誠にそういったこと。とにかく何もないところから始めることの大変さは良い勉強になりました。結局商品は知り合いのジュエリー作家のグループに作ってもらったものと、私自身が外国に行き買い付けてきたものを中心に、不満ながらも何とかそれらしい形を付けました。

1974年3月9日、11坪の、正方形に近いスペース、ショーケースは壁面に沿って2面のみ。奥の壁面には100号の抽象画を掛け、店の中央は毛足の長いシャギーカーペットを敷いてゆったりとしたソファを置いたジュエリーショップがオープンしました。モールには三宅一生さんを始め、当時のファッション界をリードする方々が出店されていたため、全く無名の私の店もついでに注目を集めることになりました。私はジュエリー業界とは全く無縁の人間でしたから、変なヤツが突然派手な店を出した、と思われたことでしょう。